マジックマッシュルームとは、特定のキノコの名前ではなく、シロシビン群キノコを含め幻覚作用を有するキノコの俗称です。シロシビン群キノコは日本を含め世界各地で自生しています。幻覚を誘発する作用のあるキノコは、古来儀式の際に使用されることがあり、トランス状態を誘発するのに利用されていました。
ドラッグとしては、日本ではインターネットを通じて売買されるようになったことから、1990年代後半から急速に若者を中心に急速に拡がりました。キノコに含まれる幻覚を誘発する成分、シロシン(あるいはサイロシン)やシロシビン(サイロシビン)は麻薬に指定されていたため、抽出することは違法でしたが、キノコ自体の売買を規制する法的根拠がなかったため、観賞用と称して乾燥したキノコや栽培キットなどの形で販売され合法ドラッグあるいは脱法ドラッグと呼ばれていました。
このような状況に対して、2002年6月6日キノコそのものが麻薬原料に指定され、輸出・輸入・製造、所持・譲受・譲渡、栽培、広告などが法的に規制を受けることになりました。
シロシビンはセロトニンに構造が類似しているため、セロトニンレセプターに作用して幻覚症状を引き起こすLSDと類似した作用機序が考えられています。
シロシビン群キノコを摂取すると、15分〜60分後に幻覚、不安感、不穏状態、酩酊状態などの精神症状や、発熱、嘔気、脱力感、口唇のしびれ、麻痺、流涙、発汗などが出現します。1〜2時間をピークに症状は徐々に消失し、4〜12時間内に正常に戻る場合が多いと言われています。
幻覚は、幻視が中心ですが幻聴などその他の幻覚が出現することもあります。
幻覚誘発剤に共通する特徴として、不安・緊張から時には錯乱状態に至るバッド・トリップが起こることもあります。
また、数日から数週間後に睡眠不足や飲酒、あるいは他の薬物摂取をきっかけに幻覚などが再燃するフラッシュバックが見られることもあります。
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