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メタンフェタミンは、中枢神経系、末梢神経系の中で神経伝達物質(ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニン)によって作動する神経系に働きます。脂溶性の高い物質であるため、脳に達しやすく、また蓄積もされやすいという性質を持っています。
また、多幸感をもたらす量の3倍程度で、神経細胞を破壊することも分かっています。
メタンフェタミンを乱用する人は、このドラッグがもたらす覚醒効果のために乱用するようになります。メタンフェタミンを摂取してすぐの効果としては、疲労感や倦怠感、眠気がなくなり何時間でも起きていられるようになるとか、爽快感、自信に満ちて、幸福な感じが出ます。ただ、これは乱用している本人の自覚症状で、客観的に観ればソワソワと落ち着きがなく、多弁、多動がみられ、すぐに腹を立てたりするように見えます。
一方、このような急性の作用がおさまるにつれて、今度は逆に憂うつな気分がして何をするのもおっくうで気怠くなってきます。不快な気分や不安感もみられます。
○ 覚せい剤による急性症状
覚醒作用についての耐性と、逆に精神病症状については逆耐性現象が起こります。覚せい剤を連用すると、同じ効果を得るのに必要な摂取量が増えていきます。これを耐性現象といいます。逆に、覚せい剤で起こる幻聴や妄想などの精神病症状については、連用することによってより少量でも起こるようになるという逆耐性現象がみられます。
覚せい剤の連用によって、幻覚・妄想などの精神病症状が出現します。幻の声が聞こえたり、見えないものが見えたり、誰かにつけられていると思いこんだりします。これらの症状は、一般に自分をおとしいれようとしている、あるいは自分の悪口を言っているなどの内容が多いため、非常に苦痛を伴います。時に犯罪に発展したりするのも、この時期です。これは、覚せい剤精神病あるいはアンフェタミン精神病と呼ばれます。
一般に、このような精神病症状は2ヶ月から1年程度の使用後に出現すると言われています。
また、いったん精神病症状が出てからは、覚せい剤の使用を中断しても飲酒やストレスあるいは少量の再使用で再び精神病症状が出現するフラッシュバックという現象も知られています。
○ 覚せい剤精神病の経過
覚せい剤の連用は特定のパターンをとることが知られています。連用の時期、つぶれの時期、薬物探索の時期の三層構造です(小沼杏坪)。
○ 薬物使用の三層構造
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