薬物依存についての情報


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薬物の作用


A1 精神状態を変える薬ってどんな作用があるんですか(短期)

ここでは、薬物の短期的な作用について述べます。あくまで、最初はこんな作用があるということです。長期に連用していると全く別の作用が現れます。長期の作用については次の項を見て下さい。薬物の作用は、一様ではありません。それは同じようにお酒を飲んでも、人によって酔い方が違うのと同じ事です。また、同じ人が飲んでも、その都度酔い方は違います。薬物の効果も同じ事で、下にあげる作用はひとつの目安と思ってください。
大麻

初めて大麻を使ったときは、取り立てて何も起こらないのでがっかりするかもしれません。大量に吸引すると、時間がゆがんだように感じます。時間がすごくゆっくりと流れるような感じがします。そして、激しい苦しみにおそわれたり、錯乱状態になることもあります。このような作用は、吸引してから数分で始まり数時間続きます。そして、薬の作用が切れるとうっとうしい重い感じが残ります。
LSD
LSDは強力な幻覚誘発剤で、神話的に語られてきました。それは、この薬物がヒッピーやビート世代と結びついていたからです。最近では取り立てて特別な薬とは考えられていません。「トリップ」は、薬を服用してから1時間程度で始まり、トリップが続いている間すごく変わった体験をします。いわゆるサイケデリックな体験をする人もいますし、見るものの色や形や音がすごく強くなったような感じを持つ人もいます。本物の幻覚を体験することはごくまれですが、感覚はゆがみます。LSDの作用は、感情面では覚醒したような感じあるいは神秘的で霊的な感じを持つことがあります。
ヘロイン
通常もっとも危険な薬物のひとつと考えられているヘロインは、強力な鎮静作用を持っています。この薬を使うと、苦痛な気持ちが取り払われ薬物が効いている間は楽しい気分になれます。一度この気分を味わうと、何をしてでもこの気分を再び手に入れたいと思うようになってしまいます。
コカイン
コカインは、感覚を鋭敏にして、浮き浮きした気分になり、食欲がなくなり痛みに鈍感になり、活力がでます。普通鼻から吸い込むと、30分以内に効果が現れます。クラックとして吸引した場合は、作用はもっと早く現れますが、その分早く終わります。大量に摂取した場合は、このような気持ちいい感覚が起こらずに、パニックや不安の発作が起こったり、妄想的になったり、場合によっては幻覚が現れたりします。薬物の効果が切れたあとは、疲労感や気分の落ち込みが起こります。
覚醒剤(アンフェタミン、メタンフェタミン)
アンフェタミン(覚醒剤)は、アドレナリンと同じように身体のあらゆる働きを活発にします。心臓の鼓動は早くなり、瞳孔が開き、食欲が落ちます。最初は頭が冴えたような感じがしたり、自信がついたように感じたり、すごく楽しい気分になります。大量に使用すると、躁(そう)状態が起こることがあります。また、すごい不安に襲われたりジッとしていられないイライラした状態が起こります。数日間でも、多量に使用するとせん妄状態が起こったり、パニックや幻覚が起こったりします。"Amphetamine Psychosis"「覚醒剤精神病」というのは、多量に使用したときに起こる症状です。疑心暗鬼になり、誰か追いかけられているような妄想にとらわれます。少量でも、ある程度の期間使用すると同じような症状が起こり、精神分裂病に似た精神病の状態になります。一度の使用で、薬物の効果は3〜4時間続き、後にはすごいだるさと気分の落ち込みが残ります。

A2 薬物を長い間乱用しているとどのようなことが起こりますか

長期乱用の及ぼす作用については、薬物によって異なります。摂取方法(錠剤の内服、直接鼻から吸引、あぶって鼻から吸引、タバコのようにして吸引、注射など)摂取量、使用頻度、使用期間によって違いますし、同じように乱用しても人によって作用が違いますので、以下の記載は一つの目安と考えて下さい。
まず、耐性という問題があります。耐性というのは、薬物の使用を続けるとはじめは少量で得られていた効果が、大量に使用しないと得られなくなることをいいます。はじめは、一服吸っただけですごくハイな感じがあったのに、続けている内に一服している状態でやっと普通というようになっていきます。だから、使用量がどんどん増えていき、一日中薬物の効果を欲するようになってしまいます。また、吸うだけでは刺激が足りないと感じ、注射を使うようになると、いろいろな意味で命にかかわる危険が飛躍的に大きくなります。
覚醒剤など場合は、長期に使用してから中断すると、すごく落ち込んだだるい感じがあります。覚醒剤は、活力を作り出すような薬ではありませんから、覚醒剤によって得られるハイは、身体の中の残り少ないエネルギーを無理矢理絞り出しているようなものです。当然、覚醒剤の効果が切れると前以上にだるい感じや落ち込みが出てくるわけです。それから、覚醒剤を長期に乱用すると精神病症状が現れます。まわりに対して疑り深くなり、追いかけられているような妄想にとらわれたり、幻聴が聞こえたりします。このような覚醒剤による精神症状は、覚醒剤をやめてずっとたってからでも、ストレスやお酒、あるいは覚醒剤の使用で全く同じような状態に戻ってしまいます。
長期乱用によって嗜癖状態になると、嗜癖特有の問題が出てきます。この点については、後に述べます。

A3 薬物はSEXにどんな影響を与えますか

ヘロインを乱用している男性は、ほとんどがインポテンツです。というのは、ヘロインは勃起能力を含めて、身体のいろいろな働きを低下させるからです。
コカインは最初は、その薬効でハイな気分になるため、男も女もSEXがよくなったように感じます。習慣的に使用すると、逆の効果が現れます。気分の落ち込み、自信がなくなり、だるさや不安が出てきます。そして、男も女もオーガスムスが得られなくなります。
覚醒剤を使用すると、男性はインポテンツになったり、射精不能になったりする事があります。女性も時にオーガスムスを感じなくなることがあります。

A4 薬物は男性よりも女性にとって、より危険なんですか

違法な薬物が、女性にとってより危険性が高いかどうかということに関する信頼できる調査はほとんどありません。ただ、薬物の影響下ではSEXに対する抵抗が少なくなるために、避妊せずにSEXをして妊娠する危険が高くなることは知られています。
ヘロインなどいくつかの薬物は、月経周期に影響します。覚醒剤を使用すると、月経が来なくなり排卵自体も抑制されることがあります。
薬物を乱用している女性が妊娠した場合、それができちゃった場合でも作った場合でも、安全に薬物をやめることができるのかどうかに悩みます。覚醒剤(シャブ、エス、スピード)、エクスタシー(XTC)、大麻、LSD、コカインについては可能ですが、産婦人科の医師にちゃんとそのことを告げる必要があります。たとえば、あなたが覚醒剤を使用したことがあるという事実を、医師は警察に通報する義務はありません。ただし、あなたが覚醒剤を持っていることを知った場合は、別です。ヘロインや麻薬の場合は急激な断薬は、危険があります。医師に相談することが是非とも必要です。精神安定剤などを乱用している場合も、急に薬をやめることは危険です。できるだけ早く、医療にかかるようにするべきです。
薬物による妊娠への影響は、薬物自体によるものだけではありません。薬物を乱用していると、生活自体が荒れてしまいます。薬物を乱用している女性の多くは、酒を飲みタバコを吸い、しばしば失業しており、家の中も散らかっています。これらは、すべて妊娠中の胎児や子供を成育するときに非常に悪い環境といえます。
習慣的に薬物を使用している女性から生まれた子どものリスクはあります。生まれたときの体重は少なく、薬物の禁断症状が見られることがあります。場合によっては、胎児死亡というケースもあります。


このページの内容は、一部を下記の本およびカナダ政府の提供する薬物・アルコール乱用防止のサイトから引用しています。


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