薬物依存についての情報
Ver.1.01
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現状では、まず子どもの変化を薬物の問題ではないかと見抜くことが必要です。日本では、これまであまり薬物の問題が大きく取り扱われることがなかったので、親御さんの方に薬物乱用なんてまったく人ごとと思っている人が多いと思います。そのような脳天気な思い込みを捨てることがまず必要でしょう。欧米では、10代のこどもを持つ親は自分の子どもが薬物を乱用しているんじゃないかといつもヒヤヒヤしているようですが、日本でも近い将来そうなってしまうかもしれません。
そのうえで最も重要なことは、過剰に反応しないことです。特に感情的な反応は、逆効果です。まず、子どもとちゃんと向かい合ってそのことについて話し合って下さい。子どもが薬物を乱用するようになるのには、それなりの理由があります。仮に好奇心だとしてもです。その子どもの現実の姿をまず、きっちりと見据えて下さい。薬物を取り上げたりどやしつけることで薬物乱用をしなくなるという幸運なケースがないわけではないでしょう。ただ、あなたのお子さんがそうだとは限りません。特に、比較的長期に薬物を乱用する習慣が付いているような場合は、このような強権発動はほとんど効果がありません。専門家のアドヴァイスを受けたい場合は、近くの補導センターや保健所に問い合わせてみて下さい。
薬物の嗜癖を止めることは、誰にも−両親、教師、医師にも−できません。薬物なしで生活することを決意した本人だけが、嗜癖から抜け出すことが出きるのです。周囲が出きることは、本人を援助することだけです。
親にできることを考える難しさは、親が監視の目を光らせると、子どもとの関係は逆に悪くなってしまうと言うところにあります。思春期や青年期のこどもを持つ親御さんで、子どもの携帯に入っている電話番号をこっそり調べていたり、子どもに届いた手紙を本人に無断で読んだりというようなことをする人がいます。親御さんにはそれなりの理由があるのでしょうが、これは子どもからの信用を全くなくしてしまう行為です。子どもの行動の全部を把握するなんてことは、現実には不可能です。むしろ、子ども自信が「やばい」と思ったときに、真っ先に相談できる存在になっておくことが肝心だと思います。
子どもは、自分が困ったときに親がどのように振る舞うかということを、今までの経験からよく知っています。親自身の不安で、ぎゃあぎゃあ文句を言うだけとか、愚にもつかない常識的な説教をするだけとわかっていたら、子どもは自分でヤバイなと思っても、親には相談したりしないでしょう。子どもが何か厄介な問題を抱えてしまったときに、しばしば親はそれを叱ります。叱るということ自体は悪くないのですが、なぜ叱っているかということが重要です。自分自身に問いかけてみて下さい。本当に子どものためにここは叱っておくべきだと考えているのか。それとも、子どもが厄介な問題を起こしたことで感情的に怒っているのか。子どもにどのように接するかということは、自分自身のこころを整理することがもっとも近道だと思います。具体的なことで相談したいときは、近くの青少年相談コーナー(大阪府下の青少年相談コーナーはここをクリック)に問い合わせてみて下さい。
このページの内容は、一部を下記の本およびカナダ政府の提供する薬物・アルコール乱用防止のサイトから引用しています。
我々のクリニックは薬物依存専門のクリニックではありません。むしろ、すでに依存症に陥っている人に対してはほとんど何もすることができません。すでに依存症と思われる方は、適当な治療施設を探されることを進めます。依存症は、依存症専門の病院や診療所を受診される方が賢明かと思います。適当なところが思い当たらない場合は、最寄りの保健所、または最寄りの警察に問い合わせてみてください。