薬物依存についての情報
Ver.1.01
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覚醒剤は覚醒剤取締法という法律で、その使用や売買が厳しく規制されています。輸入、製造、有償・無償を問わず他人に渡したり、他人から受け取ったり、所持したり、使用したりすると厳しく罰せられます。覚醒剤を持っているだけでも、10年以下の懲役です。
残念ながら、死ぬことがあります。アメリカの青年向けに書かれた覚醒剤についての本の中に、「覚醒剤の依存になった人は、薬のせいで死ぬんですか?」という質問と答えが載っていました。答えは・・・。
「ほぼ確実に薬で死にます。覚醒剤の直接の作用で死ぬこともあれば、間接的な作用で死ぬこともあります。覚醒剤など中枢神経刺激剤の依存症の人は、多くの場合薬物の直接的な作用で死にいたります。薬物を大量に使用したためや、心臓発作、脳卒中(のうそっちゅう)、脳内出血あるいは肺の病気などが死因となります。
覚醒剤は、このような薬の直接的な作用のためだけでなく、間接的な作用によっても死ぬことがあります。交通事故死の50%、自殺未遂の67%、自殺で死亡する33%、転落死の70%が薬物によって起こっています(これはアメリカのデータです)。
薬物によって、人が死ぬことがありますかというのは愚問(おろかな問い)です。薬物によって、死ぬのはいつになるかという問いがあり得るだけです。」
結構ヘヴィーな回答です。今、はまっちゃっているという人がいたら、すぐにやめることをすすめます。
若者の覚醒剤乱用は、検挙、補導に至った例だけを見ても増えています。平成7年度から増加傾向があり、特に高校生が増えています。全国の覚醒剤取締法による検挙補導状況は下記の通りです。
H3年 | H4年 | H5年 | H6年 | H7年 | H8年11月まで | |
総数 | 943 | 1001 | 980 | 827 | 1079 | 1350 |
中学生 | 15 | 14 | 17 | 13 | 19 | 19 |
高校生 | 40 | 39 | 38 | 41 | 92 | 202 |
その他 | 888 | 948 | 925 | 773 | 968 | 1129 |
中・高生の割合 | 5.8% | 5.3% | 5.6% | 6.5% | 10.3% | 16.4% |
女子の割合 | 70.9% | 81.1% | 69.1% | 66.7% | 65.8% | 47.6% |
エス=覚醒剤が依存性がないなんていうのは、全くの誤解です。覚醒剤は、非常に強い薬理作用を持っていて、きわめて依存しやすい薬です。覚醒剤の依存は精神依存といわれています。身体依存と精神依存を勝手に解釈して、覚醒剤は依存しないと思っている人がいますが、大きな間違いです。
覚醒剤は注射でやるというイメージが強いですが、最近は注射だけでなくアブってその煙を吸い込むような方法もあります。ほかにも、そのまま鼻から吸ったり、飲み物に混ぜてのんだりといろいろです。注射じゃないから覚醒剤じゃないというとことはありません。やばい人に、知らない間にジュースに入れられてたということもあるようです。最初から注射というのは、誰が考えても危なそうですが、「ジュースに混ぜたり、煙を吸い込むくらいならたいしたことないや」などとゆめゆめ思わぬように。作用は注射と同じです。
最近逮捕されたり補導されたりしている女性のなかで、「やせるから」といって覚醒剤を売られたケースがあります。覚醒剤使用すればたしかにやせることはやせますが、肌はかさかさで精気がなくなってしまうわけですから、見た目からいっても綺麗ではないでしょう。
どうも教科書のような話だけではわかりにくいでしょう。埼玉新聞のHOMEPAGEに、覚醒剤に手を出してしまった少女たちの話が載っています。きっと参考になると思います。ここをクリック(第1部、第2部)して下さい。
医療機関には、守秘義務というのがあって、患者さんの秘密は必ず守られます。それは、あなたのような場合でも一緒です。あなたがエス=覚醒剤を使ったことがあるということを警察にばらしたりはしません。ですから、心配ならば必ず診察を受けて下さい。ただし、嗜癖の状態(薬にはまっちゃっている)になっている場合は、どこの病院でもというわけにはいかないでしょうから、あなたが学生ならば学校の信頼できる先生か、保健所あるいは児童相談所に相談してみて下さい。大阪府の保健所、児童相談所(子ども家庭センター)は、ここをクリックして下さい。
2,3回なら大丈夫といってエスを使う子がいます。実際何度かやってやめてしまう人もいます。はまってしまうまで続ける人もいます。
特に覚醒剤の乱用は、しばしば命にかかわります。覚醒剤は、違法に作られていますから、不潔なところで、いい加減に作られたり、配合がいい加減だったりします。そうなると、そもそもの覚醒剤が毒物であったりもします。こんなのを使うと、非常に危険です。それから、覚醒剤は作られてから途中いろいろな人の手を通って、売られることになるわけですが、その間にいろいろな白色の粉を混ぜて量を増やします。そのような、混ぜものも危険です。また、逆に混ぜものが少なくて純度の高いものを使った場合も、その分作用が強くなるので危険です。その他に、もちろん覚醒剤自体についての危険性があります。
最初にエスをやった時に死なない人もいます。それは、二回目かもしれませんし、十回目か15回目か、それはわかりません。何度目にやるときが、あなたが死ぬときかは誰にもわかりません。
このページの内容は、一部を下記の本およびカナダ政府の提供する薬物・アルコール乱用防止のサイトから引用しています。
我々のクリニックは薬物依存専門のクリニックではありません。むしろ、すでに依存症に陥っている人に対してはほとんど何もすることができません。すでに依存症と思われる方は、適当な治療施設を探されることを進めます。依存症は、依存症専門の病院や診療所を受診される方が賢明かと思います。適当なところが思い当たらない場合は、最寄りの保健所、または最寄りの警察に問い合わせてみてください。